結論からいいます。
メモリーパレスと呼ばれる記憶の宮殿(場所記憶)は現存する記憶術の中で最強の記憶法です。
というのも、理由は3つあります。
実はこの記憶術は、全米記憶力チャンピオンのジョシュア・フォア 、その他世界屈指の記憶力猛者たちにも利用されています。
また、小説や映画にもこの手法が用いられています。例えば、19世紀後半に活躍したイギリスの小説家・アーサー・コナン・ドイルの創作した、シャーロック・ホームズシリーズの主人公であるシャーロック・ホームズや、「羊たちの沈黙」の続編である「ハンニバル」においても、天才的な頭脳を持つ殺人者ハンニバル・レクター博士は記憶の中で千の部屋がある広大な宮殿を構築していました。
このように、世間では天才ともてはやされる人も実は記憶の宮殿を利用しているのです。
加えて、この記憶術には驚くべき効果も含まれています。
- トレーニングの概要: 1日30分のトレーニングを6週間続けることで、脳の回路を改造し、記憶力を劇的に向上させる。
- 脳の可塑性: 昔の考えでは脳の細胞は減る一方だとされていましたが、現在では特殊なトレーニングで脳の機能を向上させることができるとされています。
- 研究結果: 記憶力チャンピオンと一般人の脳の構造はほとんど同じですが、脳の接続パターンが異なり、それが記憶力の違いを生み出しています。この接続パターンはトレーニングで変えることができます。
- メモリーパレス技法: 頭の中に自分の家や通学路などのよく知っている場所を思い描き、その場所に覚えたい情報を配置する「メモリーパレス」技法を用いることで記憶力を向上させることができます。
- 実験結果: 記憶トレーニングを行ったグループは6週間で脳の接続パターンが良い方向に変化し、記憶力が大幅に向上しました。
このように、6週間一日30分記憶の宮殿を利用することで脳の構造そのものを書き換えることが可能になります。
詳しく知りたい方は以下の動画をご覧ください。
この記事では、ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由を参考に、平凡な人が記憶力チャンピオンと同レベルの記憶力を得るための記憶の宮殿についてお話していきます。
(上記のリンクをクリックすると参考本の画面へと切り替わります)
ではいきましょう。
記憶の宮殿の基本的な仕組み
記憶の宮殿の基本的な仕組みは、記憶を「場所」として整理することにあります。
私たちは日常生活の中で、知らず知らずのうちに記憶の宮殿のような方法を使っていることがあります。
例えば、たくさんのメモや領収書を整理する際に、引き出しやフォルダーなどの「場所」に整理して保管することで、必要な時にそれらを容易に見つけ出すことができます。
記憶の宮殿も同じように、頭の中に「場所」を作り、そこに記憶を呼び起こすためのキーワードを置くことで、必要な情報を効率的に思い出すことができるのです。
記憶の宮殿の作り方
ファーストステップ
まず、記憶の宮殿を作るための第一歩は、具体的なイメージを持つことです。
自分がよく知っている場所や建物を選び、その特徴やディテールを思い浮かべます。
例えば、あなたがよく知っている家や学校の建物、あるいは街並みなどを使うと良いでしょう。その場所を選んだら、次にその場所をどの順番で歩くかを決めます。順番を決めることで、記憶した情報に容易にアクセスすることができるようになります。
よくイメージとして利用されるのは自宅です。最も頻繁に訪れており、なじみ深い場所だとより鮮明に思い出すことが可能となるので場所選びはしっかりしたいです。
セカンドステップ
次に、選んだ場所を歩きながら覚えたい情報を置いていきます。
例えば、家の玄関に一つの情報、リビングルームにもう一つの情報といった具合に、特定の場所に情報を結びつけていきます。
この際、情報を具体的なイメージや感覚体験に結びつけることで、より強固な記憶を形成することができます。
例えば、コーラを玄関に結び付けるとします。この際のイメージは以下のようになります。
扉を開けると、玄関に甘いにおいのコーラが床いっぱいに泡を出しながら流れ出てきた。亡くなったお父さんがよく飲んでたなぁ
このように、結び付けるときには「誇張」し、「五感」そして「感情」を利用します。
今回の場合は「誇張」したのは泡の量。「五感」を利用した個所は「甘い匂い」、「感情」は「亡くなったお父さん」です。
この記憶法はありえない事象があるからこそ、その衝撃として脳に刻み込まれます。
分かりやすくするために言い過ぎました「感情」の個所では違和感があるようになってしまいましたが、自分の持っている覚えたい対象への第一印象などを利用するのがおすすめです。
サードステップ
また、情報と紐づける「鍵」を作ることも重要です。これは、情報を呼び起こすための手がかりとなるもので、シンボルやイメージを用いて記憶を強化します。
例えば、パスポート番号を思い出すために、飛行機や空港のイメージを結びつけるといった方法があります。
一回でも十分効果はありますが、毎日その宮殿を歩くことで、記憶の強固さを増していきます。繰り返し訪れることで、情報が定着し、忘れにくくなります。また、定期的に宮殿をメンテナンスし、新たな情報を追加することで、記憶の範囲を広げることができます。
家だけでは足りなくなった場合、その周辺の建物あるいは職場や学校、通勤ルートなんかでも有効となります。
プロの方たちは「クソでかいビル」や「マンション」を利用しています。
小説「ハンニバル」においては、天才的な頭脳を持つ殺人者ハンニバル・レクター博士は、記憶の中で千の部屋がある広大な宮殿を構築していました。
記憶力を最大化するためにはストーリーを使え
記憶力を最大化するためストーリー法と組み合わせることが有効です。
ストーリー法とは、記憶したい情報を物語に組み込む方法です。この方法を使うことで、情報に意味を持たせ、覚えやすくすることができます。
例えば、覚えたい情報を一連の出来事として結びつけ、その出来事の流れをたどることで、自然に情報を思い出すことができます。物語の中で情報が具体的な状況や行動に関連付けられているため、記憶が鮮明になり、呼び起こしやすくなります。
具体的に説明します。
この3つの年号を、ストーリー法と記憶の宮殿を使って覚えてみましょう。
次に、記憶の宮殿の中での場所設定やイメージを具体化し、鮮明に思い出せるようにすることも重要です。
例えば、宮殿の中の特定の部屋や場所に情報を配置する際、その場所の物理的な特徴や感覚的な情報を取り入れることで、記憶がより強固になります。
視覚的なイメージだけでなく、匂いや音、触感なども想像して取り入れると、記憶が一層鮮明になり、思い出しやすくなります。
まとめ
まとめると次のようになります。
記憶の宮殿の基本的な仕組み
- 記憶を「場所」として整理する方法。
- 頭の中に「場所」を作り、そこにキーワードを置く。
- 必要な情報を効率的に思い出すことができる。
記憶の宮殿の作り方
ファーストステップ
- よく知っている場所や建物を選ぶ(自宅など)。
- その場所の特徴を思い浮かべる。
- 場所をどの順番で歩くか決める。
セカンドステップ
- 選んだ場所を歩きながら覚えたい情報を置く。
- 情報を具体的なイメージや感覚体験に結びつける。
サードステップ
- 情報と紐づける「鍵」を作る。
- 宮殿を毎日歩いて記憶を強化する。
- 定期的に宮殿をメンテナンスし、新しい情報を追加する。
記憶力を最大化するためのストーリー法
- ストーリー法と組み合わせると効果的。
- 記憶したい情報を物語に組み込む。
- 情報に意味を持たせ、覚えやすくする。
これらの手法を駆使して皆さんの勉強が捗ることを願います。
コメント